鄙舎 茅の葺き替えプロジェクトについて

2017年、13年ぶりに行われた「鄙舎(ひなや)」の茅葺き屋根、葺き替えの様子をプレイバック!当時の臨場感あふれるレポートを、お楽しみください。
いよいよ茅葺きが始まりました!日に日に屋根の形ができていきます。厚みが出てきて、見た目に重量感があります。







2017年4月18日(火)
春の嵐のようなお天気だった昨日から、徐々に晴れ日となっていった本日。いよいよ茅の葺き替えが始まりました!軒下となる葦(ヨシ)を葺いていきます。
思っていたよりも丈がある茅(葦)は、すでに雨除けシートまで届く高さです。きれいに並べられていく作業に見入ります。淡い小麦色の葦が並んでいく様子はとても美しく、すべての面が覆われるのが心待ちでした。同じ分量を束ねては真っ直ぐに置き、ゆるく紐で縛り小口の水平をとり、固定する。その作業が繰り返されました。
午後3時頃、妻側がとうとう完了し、平側も高さの違う部分を調整する部分を最後の作業に、無事に完了しました!明日は、俵にまとめられた藁(わら)を積んでいきます。













2017年4月19日(水)
昨夜の強い風が残る日中となりました。東側と北側を昨日と同じように葺いていきます。午前中いっぱいでスムーズに完了し、昨日から準備されていた藁(わら)束をぐるりと葺いていく作業が始まりました。
藁は一本一本は風にそよぐほどの細さですが、束にすると軽くて分量のあるものになります。適当な分量にまとめて、小口に近い部分と先の方の2か所を紐で結わえます。作業を見ていると、紐を結ぶ場所によって、今後の屋根の傾斜に影響が出るらしく、場所場所で束ねる紐の位置を調整しています。熟練の職人さんが、作業をしている新人の職人さん達に理由を伝えながら位置を調整します。葦(ヨシ)を葺いていくときも、持っている経験をその場その場で伝えていきます。
現場では屋根の形を見ながら、全体のイメージを浮かべながら話しながら形を決めていきますが、細かな打ち合わせはありません。目分量と感覚で長さや束の分量を計りながらきっちりと美しく一つの工程が完了していきます。ほとんどが人の手で行われており、自然の材料を使って人の手で作れるものはたくさんあると感じさせられます。










2017年4月20日(木)
軒の厚みと屋根の傾斜を作るための藁束置きがすっかり完了しました。最初の茅葺きから屋根の形造りは始まっていますが、藁束を置いたことでまた形が見えてきました。四隅の形をしっかりと入念に決めていきます。
ところで、今まで聞いていた話から“藁”という素材は安価でコスト合わせのために使われるものだと、なんとなく思っていました。耐用年数も藁は10年ぐらいで葦(ヨシ)は20年〜30年と調べると出てきたこともあります。職人さんにあらためて尋ねると、そうじゃないんですよ、と話をしてくれました。
藁は、穂先が根元よりも細くなっているため、軒の受けの傾斜を作るのに有用で、葦が固く真っ直ぐした特性なのに対して、柔らかくしなる特性で隙間なく屋根の密度を埋めてくれ、雨漏りしにくいそうです。扱いやすいため、稲藁が採れる地方ではメインの材料として葺くとのことでした。
現在藁を使っている部分も、葦で葺くことはもちろんできるそうですが、そういった長所があるため、藁を使っていると話してくれました。軒に見える層も、葦と藁とで濃淡があり、きれいに見えます。きちんとお話が聞け、お伝えすることができ、よかったと思いました。









2017年4月21日(金)
お天気に恵まれ、今週は毎日のように工程が移り変わっていきます。フル(古い茅の再利用)の上に「水切り(雨水を切る軒の一番先)」となる茅を葺き、軒づくりが完了します。
厚みは相当に分厚くなり、話に聞いていた通り重みもかなりありそうです。水切りから上の屋根の部分のことを「平」というそうです。これから平をつくっていくのですが、工程を見ていると、いつも北西の角が一番早い動きをします。この角はもともと屋根の重みに耐え切れず、茅がずり落ちていた部分で、今回の葺き替えでそういったことが起きないよう、屋根の形について当初から談義されていました。
いよいよ「平」を葺く段階になって、具体的なイメージを話し合います。話し合いの結果、山陰では見かけたことのない造り「つばめぐち」をやろう!と決まりました。話を聞きながらも、頭に思い描いているイメージが正しいのかどうかわからない、と伝えると、日曜日の午後にはできていますよ、との頼もしい言葉。楽しみに日曜日を待つことにしました。







