復古創新
~ツバメとヒトの家づくり~
2026年は、私たち 石見銀山 群言堂 が大切にしている理念〈復古創新(ふっこそうしん)〉をテーマに、身の回りにあるさまざまな素材で表現していきます。
例年3月から7月頃にかけて、石見銀山本店の玄関に巣を作りにやってくるツバメたち。その巣作りは、この町の左官職人たちが土壁を築く手法とよく似ています。
日本の土壁は、小舞竹(こまいだけ ―土壁の芯になる竹の下地、または材料-)に、捏ねた土を塗り重ねて作ります。この小舞竹は繰り返し使うことができ、家を建て直す際には、一度塗った土を戻し、水や藁を加えて練り直した土を、再び塗り戻すことで次の世代へと引き継がれていきます。
一方、ツバメたちも、口に含んだ泥を器用に丸めて積み重ね、せっせと巣を作っていきます。その姿は、まるで立派な左官職人のよう!
そして、巣もまた、一度きりのものではなく、補修を繰り返しながら土壁のように代々受け継がれていくのです。
こうしたツバメの巣作りの光景に、かつてお蔵入りとなった土壁の存在が思い浮かび、素材としました。本来は土で覆われて見えない小舞から土がのぞく表情に、ふと、独特の味わいや、おもしろさを見出す感性-----それは言わば、古き知恵を遊び心で捉える「復古創新」です。
ツバメも私たちも、似た感性を持ったこの町の仲間であると言えるでしょう。
復古創新の精神が息づく、ツバメとヒトの家づくり。
今年、この空間にどのような景色が広がるのか、とても楽しみです。
石見銀山のある大森町では、左官職人の技と美が息づく漆喰芸術「鏝絵(こてえ)」を見ることができます。西性寺経蔵の「鳳凰」は、“左官の神様”と称された松浦栄吉氏(大田市仁摩町馬路出身)が、大正時代に制作したものです。
大森町に立ち寄った際には、今にも飛び立ちそうな鳳凰、時を超えた素晴らしい職人の技をぜひご覧ください。
<素材>
鏝(こて)/土/土壁/電柱/ツバメ柄の半纏/藁/墨ツボ

石見銀山 群言堂
本店ディスプレイとは
デコレーター山内真澄美氏が、石見銀山 群言堂 本店・玄関スペースに制作する四季折々のアートディスプレイです。
石見銀山の草花や自然素材、捨てられゆくものを活かし「根のある暮らし」や「復古創新」など、群言堂の世界観を表現しています。
2026年の制作テーマは、私たち 石見銀山 群言堂 が大切にしている理念〈復古創新(ふっこそうしん)〉です。
※復古創新とは、過去から本質を学び、現代の価値観に合わせて新しい世界観を創造するという 私たちの考え方です。
山内 真澄美氏 プロフィール
1966年 大阪に生まれ育つ。
15歳 両親の実家、島根へ Uターン帰郷
21歳 百貨店のウィンドーディスプレイに興味を持ち、花の勉強を始める
――その後、神戸、広島で花屋、デコレーターのアシスタントを経て
29歳 フリーとして独立
2019年春頃より、暮らす宿他郷阿部家にて花のしつらえ、お掃除等も担っている。
「日本の古き良きものの中にある新しさを見つけ出し、恵まれた自然環境、日々の生活、出会いや出来事の中から、私自身のアンテナに反応したモノやできごとを表現する創作活動をしています。
今のこの瞬間を味わえる事に感謝し、モノとモノ、モノと人、 モノと空間、そのカタチや意味を学び、探り、楽しみながら作品に向き合いたいと思っています。」


