仲良し同士寄り添って 福は続くよどこまでも|登美さんからの手紙

3歳のフレンチブルドッグの「福」がわが家にやってきてから約半年が経ちました。ひとり暮らしの相棒に、という娘の勧めで保護犬を迎え入れたのです。

最初に仲介の方から紹介されたのは、誰もが認める美形で利発そうなフレンチブルドッグでしたが、相性というのは不思議なものです。「こんな可愛い子はなかなかいないよ!」と乗り気な娘に、「考えてみる」と返事はしたものの、すぐには行動に移さなかった私。たちまち別の貰い手があらわれ、ご縁はなかったことになりました。

そして次に送られてきたのが、貰い手が見つかっていなかった福の画像。前の子とは打って変わって、私はその愛嬌に満ちた表情を見るやいなや、「可愛い!この子がいい!」と前のめりに即答したのです。

一緒に暮らし始めてみて、あの時の直感は正しかったのだとすぐにわかりました。人懐っこくて気立てがよい福は、私だけでなくご近所さんや会社のスタッフにも愛嬌を振りまいて可愛がられています。先日などは、その様子を見た夫が「福はいいよなあ、俺のことも誰か保護してくれないかな」なんてボヤいたほど。

私のこれまでの人生を振り返ってみると、節目節目で「授かった」としかいいようのない出会いがありました。昔から動物は好きでしたから、これまでにも捨て犬や迷い犬、ペットショップで売れ残った目の悪い猫など、さまざまな子たちと一緒に暮らしてきました。

生きものとの出会いだけでありません。そもそも大森町という居場所と出合ったのも、ボロボロだった武家屋敷・阿部家と出合い、改修することになったのも授かったご縁でした。私という人間は、捨てられたもの、他人様から「取るに足らない」と思われているものの中に、きらりと光る価値を見出すのが好きなのでしょう。いえ、考えてみれば私自身だって、ずっと変わり者だヘンテコだと言われてきたのが、ここ大森町へ来て、ようやく自分らしく生きられる場所を見つけたのですから、類は友を呼ぶのかもしれません。

ここに来るまで田舎暮らしと縁遠かった福は、最初は道を歩くのにも溝を飛び越えるのにも足がすくんでいましたが、今では本来の姿を取り戻したようにのびのびと町を走り回っています。福と私、仲良しコンビの毎日は楽しくにぎやかです。


石見銀山生活文化研究所 相談役
暮らす宿 他郷阿部家 竈婆
松場登美

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